本格焼酎とは

本格焼酎用語集

本格焼酎

本格焼酎に関する用語をまとめてみました。

本格焼酎

 

 本格焼酎用語集

 常圧蒸留・減圧蒸留

単式蒸留での焼酎(本格焼酎)造りには、常圧蒸留と減圧蒸留とがあります。

常圧蒸留とは、従来の製法で、大気圧のもとで蒸留を行います。この場合、沸点(液体が沸騰する温度)は90度~100度になるため、原料に含まれる成分がまんべんなく揮発することにより、幅広い、芳醇な香味を持つ焼酎が生まれることとなります。また、ときには、雑味と感じられる成分が含まれることもあります。

これに対して、減圧蒸留とは、蒸留装置全体を減圧状態(大気より気圧が低い状態)において蒸留するものです。この場合、沸点は50度程度となり、より雑味成分が少ない、ソフトな焼酎が出来ます。当初は麦・そばなど穀類焼酎の製造に用いられてきた技術ですが、近年、ソフトな本格焼酎が求められたことから、芋焼酎にも用いられるようになりました。

しかしながら、最近では、昔ながらの常圧蒸留での芋焼酎も再評価されるようになり、常圧蒸留をうたった本格焼酎の発売も多くなっています。

本格焼酎

 

 麹と酵母

日本を含む東アジア、東南アジアでは、お酒を造るのに、麹と酵母を用い ます。

麹(カビの一種)とは、穀類や芋などのデンプンを糖質(ブドウ糖)に変える働きをします。お酒のみならず。味噌・しょうゆなど、発酵させて作る食物に重要な働きをします。

また、酵母(イースト、微生物の一種)は、ブドウ糖をアルコールに変える働きをします。

日本のお酒は、麹でデンプンをブドウ糖に代えたのち、酵母によってアルコールを作るという製法で作られています。

麹と酵母、混同しそうですが、それぞれ異なる役割を持ち、生物の性質をうまく利用して、いろいろな食物が作られているのです。

ちなみに、気候が乾燥していてカビが生育しにくいヨーロッパでは、もともと果実に糖分を含むブドウが用いられたり、発芽時に自身が持つ酵素(アミラーゼ)によって種子のデンプンが糖化される大麦(麦芽)が原料として用いられています。以後、アルコールを生成するのに酵母が用いら れるのは、日本の場合と同様です。

 

 白麹・黒麹・黄麹

清酒の醸造には、日本固有種である黄麹が使われます。焼酎造りにも古くはこの黄麹が使われていましたが、南九州のような温暖な気候には適していないという性質がありました。

一方、沖縄の泡盛には、温暖な気候にも強い黒麹が使われていました。

このため、鹿児島で、焼酎に黒麹を使用したところ、もろみが腐敗しにくく良質な焼酎ができることがわかり、その後九州一円で使われるようになりました(明治の話です)。

さらに、研究の結果、黒麹の変種として白麹が発見され、その扱いやすさ、味に雑味が少ないことから、ほとんどのメーカーで、白麹が使われるようになりました。

しかしながら、近年、甘みや若干の苦味など個性ゆたかな焼酎ができる黒麹が見なおされ、ブームとなり、現在にいたっています。

それぞれの麹で作った本格焼酎の特徴はつぎのとおりです。

黄麹・・フルーティな香りと旨味、さわやかな味わい
白麹・・すっきりとした、飲みやすい味わい
黒麹・・甘みや苦味をもつ個性豊かな味わい

本格焼酎

 

 全麹造り

焼酎を造るのに、一次仕込みと二次仕込みで使用する麹は異なることが通常です。たとえば、芋焼酎の麹には米麹が使われるのが普通です。そうすることにより、よりマイルドですっきりとした味わいになります。

これに対して、焼酎造りの全工程で同じ麹を使用することを、全麹造りといいます。全麹造りでは、その麹の個性がよりはっきりと現われた味わいとなります。

なお、沖縄の泡盛は、一次仕込みのもろみをそのまま蒸留しますので、全麹造りとなります。

 

 無濾過

蒸留した焼酎の原酒には、フーゼル油と呼ばれる油分が含まれており、これが酸化すると著しく酒質が落ちてしまいます。これを取り除く工程が濾過(ろか)と呼ばれるものです。 濾過には一般にはフィルターが用いられます。

無濾過といわれる焼酎も、実際には原酒を冷却して油分を浮かし、これを油取り用の「ネル」で丹念にこしとるなどの方法により、よけいな油分を取り除くなどの処置をしていることが多いようです。

無濾過焼酎は、より複雑な味わいとなり旨みも濃いものとなりますが、雑味が感じられることもあります。

本格焼酎

 

 蒸留仕立て

一般に、本格焼酎は、蒸留後一定期間貯蔵した後、びん詰めして販売されます。貯蔵が長期になるほど熟成がすすみ、3年以上貯蔵したものは古酒と呼ばれます。

「蒸留したて」は、貯蔵をほとんど行っていないもので、最近、焼酎ヌーボーとも呼ばれる、出来たての焼酎です。

貯蔵したものとは、また異なる、若々しい味わいが特徴です。

本格焼酎

 

参考資料:独立行政法人酒類総合研究所「酒類販売管理研修」テキスト他